
今回のお目当ては、ヒメマス。
ベニザケの陸風型として有名で
産卵シーズンの婚姻色で真っ赤になります。
紅葉だけでなく魚体も鮮やかな季節というわけで
普段は深い水深に暮らしているのが
産卵の時だけ超浅場に上がってきます。
紅葉と一緒に狙える旬は2週間ほど。
ハウス栽培とか養殖とか飼育技術が進歩して
いつでもどこでも誰にでもみたいな世の中で
短い天然の旬を贅沢に味わいます。


甘い綿菓子のような香りが森を満たします。
桂の木の香りだそうです。
胸いっぱいに吸い込みながらスクーバユニットを
セットする時間が僕は大好きです。
「すぐそこに産卵床があるので、踏まないように気をつけて」
と青柳さんと新倉さんに促されながらエントリー。
顔をつけるともうそこはヒメマスでいっぱいです。
産卵床の前にカメラを置いて、しばし放置。
レンズ越しではなく、全身にこの光景を焼き付けたい。

姫鱒、と書くと可愛らしいですが、産卵期ともなるとオスは厳つい顔つきになり、背が曲がり迫力が増し、真っ赤に染まります。



月並みな表現しかできないんですけど、一生懸命なサケやマスを見ていると、自分と重ねてしまう。
白い顎を気高く掲げるオス達にと問い詰められる小一時間。
「お前はどうなんだ?」
「これからどうしたいんだ?」
毎年答えに窮して空を見上げます。
