DAY1:前半戦の勢いのまま行ってみよう!

・・と言いたいところなんですが、
もうね、どう頑張っても大荒れ予報でして。
(前半戦はこちらからhttps://www.izudiving.com/trip/node/2699

爆弾低気圧直球真っ直ぐストレートの
どストライクでwindyも大西真っ赤っか。

当地において西風というのは
オフショアになるので
海は穏やかになるはずなのですが

あまりにも風が強いので
その沖にデーンとしている国後島に
うねりの形で跳ね返ってくるんです。

「流氷はおろか、全日程ダイビングできないかもです・・」
と初日の羽田空港で謝り出す始末。

女満別空港から車を走らせて羅臼へ。
氷ははるか沖にぶっ飛んでしまいましたが
キセキテキにうねりも小さく午後は潜れました。

とにかくクリオネが大爆発!

適当にシャッター切れば、どっかのクリオネにピントが合うスタイル(あってない)。
おしりぷりっ
流氷の妖精とはよく言ったもので
妖精みたことないですけどね

去年は本当に少なかった分、
まとめて一気に納品された気分。

途中から誰も指ささなくなったもんなぁ。

そして、イクオネ!
クリオネ1000匹に1匹いるかどうかと言われるほど
なかなかお目にかかれない種。

珍種イクオネ

写真家の中村征夫さんにちなんで
「イクオハダカカメガイ」という和名になったのだそう。
征夫さんがハダカになったわけじゃないのに。

しかも交尾しているペア!

しっぽが矢印になってるのが特徴
嘲笑うかのようにレンズから逃げる
クリオネより大きなオレンジの臓物

潜り終わってからも
みんなが気になるのは氷の行方。

車でいける一番最果ての集落
相泊(あいどまり)まで。

沖の白いのが流氷帯
望遠鏡ではしゃぐアヤミ「キテルヨ!」
ここでアザラシ出た!

雪に埋もれた相泊の港の岸壁を
えっちらおっちらと乗り越えて沖を見ると
来てます来てます!

「あ!」
ふいにゆーき君が叫びました。
指さす方を見てみると、なんとアザラシ!

ギャーギャー騒いでしまったのが
いけなかったか、水面に顔を出すたびに
どんどん遠くなるアザやん・・・

満足のいく画像がないですが
心のSDカードにしっかりと
記憶した我々なのでした。

羅臼に戻り展望台にあがると
さらに来てます来てます!

手前の森に止まっていた
ワシがスイーーーーーーーーーーっと
羽ばたいて流氷帯の方へ飛んで行きました。

ワシになりたいなぁ。

DAY2:ダイビング、アウト!

白壁に朱色の柱。美しい社殿。

2日目は予想通り、案の定、やはり、
思った通り、の大うねりで
ダイビングはアウト。

朝から「頼むぜ神様!」ということで
恒例の羅臼神社へ。

日本神話の超重要神である大国主命、
えびすさんこと事代主神と並び

なぜか日本三大怨霊の一つ、
崇徳天皇が祭神になっていますから
これはお参りしないといけません。

(これ書く時に調べたら、以前は金刀比羅神社だったそうで、それで讃岐に流された崇徳天皇も、のようです)

手水場が凍ってる。試練だシューゾー。
雪に五体投地して禊

この日、海がダメなら
行くところは決まっていました。

網走のオホーツク流氷館へ。
関さんの写真展が開催されているのです。

道東の自然をずっと見守ってきた関さんの
大きく伸ばした作品が
たくさん見られる機会はなかなかありません。

一人一人、心を奪われた
それぞれ作品の前で、立ちすくみます。
みんな潜りたいのを我慢しながら。

関さんのナレーションのショー
流氷をそのまま展示
濡れたタオルを振り回すと凍る

流氷館はそのまま「関勝則美術館」
に名称変更してもいいくらいの内容でした。

そして、標津のサーモン科学館
水槽の真ん中にいるのは珍種エビスザメ。
日本の水族館で展示されているのは
現在はここだけなんだそうです。
口角上がってて可愛い顔でした。

サケマス類しかいない男気パーク
園内のどこからでも餌やりできる男気

サーパー(サーモンパークを略して勝手に呼んでます)
は、何回来ても面白いなぁ、楽しいなぁ。
勉強になるし、自然環境で会いたくなります。

海が見える駅
大荒れの大荒れでした。

道内で流通しているスタッドレスは、
内地と仕様が違うのかな?
と思いたくなるくらい、雪道が滑らないです。

この日だけで移動距離300km。
がんばれ、僕らの腰。

DAY3:黒い海

日本で一番早く朝を迎える道東。
この時の日の出は5時30分くらい。

ダイビング最終日ということで
一縷の望みをこめて海へ。

うねり、やはり収まってくれません。

流氷時期はこうしたうねりを
氷が全部シャットアウトしてくれるのですが
黒い海が広がっています。

知床岬あたりの氷の勢力が
強くないからなんだそう。
今日もダイビングは、アウト。

結局潜れたのは初日の1本だけでした。

口にも顔にも出すまいと頑張っている
みんなの落胆をどうしようか
と思案していると

青柳さんと新倉さんが
「間欠泉、見に行ってみれば?」
助け舟を出してくれて
しかもついてきてくれました。

潜れないことは
あの人たちに責任は全くないのに
北の男は優しい。ほんと優しい。

スノーシューを借りて
令和はカンジキとは言わない。
みんな初スノーシュー!

ビジターセンターでスノーシューを借りる。
環境省の施設なんだそうです。

スノーシューのレンタル代は
たった¥500。
これまで各種税金を払ってきて
よかったと思いました。

みんな初めてのスノーシュー。
令和の民は「カンジキ」だなんて言わないのです。

キタキツネの足跡と並走するように進む。
一面真っ白な新雪にみんなで跡をつけていきます。
ぜんぜん足が雪に埋もれない。
楽しくてあたり構わず踏み散らかして。

「これ後からきた人たち可哀想だなぁ」
と誰かが嬉しそうに言いながら、
でも歩くのをやめません。

誰もいない雪山を歩く
急斜面を登る!
登り切った!

間欠泉とは全然違う方向に
けっこうな急斜面が現れて、
誰からともなしに登り始めました。

ちょっと気を抜くと滑り落ちてしまう角度、
しかし我々にはスノーシューがあるのです。

いい年こいた大人たちが
別にわざわざ登らなくてもいい急斜面を
自分でも理由がわからないのに
いい気になって登っていく姿は美しい。

やらなくていいことに夢中になる。
多分、遊びの本質は、そこにあるのでしょう。

登った先にきっと絶景がある。
そう信じて頑張った割には
平凡な景色でめちゃくちゃ笑いました。

そして登った斜面を
全身雪まみれになって
滑り落ちていきました。

自分がやったことに最後まで責任を持つ。
多分、それも遊びなんだと思います。

この山には
僕らの他には誰もいなかったし。
すごくいい天気だったし。

雪だるま作りが始まった
変なテンションだった
間欠泉、プシャッ

ここの間欠泉は、
1時間ちょっとのペースで吹き上がるけど
次の噴射までちょっと時間があるということで

暇を持て余したヒマ神たちが
突如雪だるまを作り始めました。

潜れなくて残念だったけど
雪まみれになるのは
確かに楽しかったのです。

今思えば、きっとこのあたりから
みんなのスイッチが
「ダイビング」から「道東の自然を堪能する」
に切り替わったのだと思います。

間欠泉は、
思っていた以上にショボくて
それもまたスノーシューの楽しさを
際立たせてくれました。

御朱印的なヤツ
ビジターセンターの映画もほぼ関さんの動画が

ローソク岩に寄ってみると
もしかすると、もしかして、もしかするわ
流氷近いてきてるかも、の東風。

「夜になったら、接岸するかも」
と鎌田さんが。

もしかしたら運転あるかもと
晩御飯のビールを控えておいてよかった。

その晩、流氷が接岸しました。
みんなの喜びようったらなかった。
すっげー吹雪だったけど。

ついにきた!
撮影:鎌田さん
撮影:鎌田さん
吹雪ジュン

潜れなかったけど、
最後の最後に神社のお参りが効いたのかもしれません。

海を完全に覆い尽くす流氷。
寒いはずなのに
誰一人、宿に帰ると言わなかった。

流氷も止められないうねり。

宿に戻って飲んだサッポロクラシック、美味しかったなぁ。

DAY4:最終日、のはずだった。

最終日も、流氷に会いたくて早朝から海へ。

一晩中降り続いた
(そしてまだ降っている)雪が

海に積もり「雪泥(せつでい)」となって
面白い文様を作っていました。

ジャムアイス

動画で見るとぜんぜんうねりが
取れないのがわかります。

伊豆海洋公園で普段潜っている彼らは
ちょっとやそっとの波じゃビクともしません。

だから最初は
「このくらいのうねりで中止?」
と訝しく思ったことでしょう。

しかし、装着するウェイト量が全く違います。
あの高重量の装備では自分の身体も
思ったようには動きません。

また羅臼の氷は動きます。
コンクリートのように重く硬い氷に
挟まれた時のリスクもあります。

最後までもどかしいうねりを
睨んでるみんなを撮ったら
かっこいいアー写になりました。

カラー版
モノクロ版

朝ごはんを食べて
お宿の皆さんに別れを告げて
知床ダイビング企画へ。

この日はさらなる爆弾低気圧が
道東を通過する予報で、大雪警報まで。

朝から根北峠、美幌峠が通行止め。
女満別、中標津も欠航が決定。

しめしめ、なんか嫌な予感がしたから
帰りは釧路で取ったんだ。

途中に峠もないし、勝ったぞ僕たちは。

と、タンチョウのいる穴場を
関さんに教えていただいて
後ろ髪引かれる気持ちで
一路、釧路へ。

(ここからそれどこじゃなく画像ありません)

予報通りどんどん吹雪いてきました。
道を走る車もまばら。

路面は真っ白で、
どこから路肩かわかりません。

標津(しべつ)から
中標津(なかしべつ)までは順調でした。
問題はその先でした。

横殴りの雪をワイパーで払い除けても
どんどんガラスに積もります。

数回ホワイトアウトを経験しました。
まったく見えない。まっしろしろすけ。

止まりたいけど、
止まると後ろから追突される。

ハザードを気休めにつけながら
ゆっくりゆっくり走り続けます。

5、6台車が吹き溜まりに
突っ込んでエンコしていました。
レンタカーかと思ってみると地元の車っぽい。
社名が入った社用車も。

さすがにちょっと、あせる。
何度か深呼吸しながら
ハンドルを握り直す。

外気温と車内の暖房の差で
フロントが尋常じゃない結露で
デフが効かない。

タオルでガラスを拭こう。
タイヤは噛んでくれる。
ゆっくりいけば大丈夫だ。

もうそろそろ中茶安別(なかちゃんべつ)だ。
と、その先で渋滞ができている。
また誰かが路肩に突っ込んだんだろうか。

車列の後ろで止まっていると、
向こうから誰かが歩いてきた。
北海道開発局の車が向こうに見える。

「・・・すみません、通行止めになりました」

えーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
まじでーーーーーーーーーーーーーーーー!
いまーーーーーーーーーーーーーーーーー?

今きた道を引き返すしかありません。
途中のコンビニでトイレ休憩。

いそいで道路情報をチェック。
すると・・・

レイボーブリッジ封鎖!

今通ってた釧路までの道が、通行止め。
弟子屈(てしかが)抜けても、通行止め。
別海(べつかい)抜けても、通行止め。

釧路までの全ルート、通行止め!!
ぎゃー、詰んだ!!

どれだけ選択肢が作れるか
しばし逡巡。

みんなと話し合い
今晩の帰京は諦めて
中標津まで戻ることに。

なんとか宿と明日の飛行機を押さえて
もうどうにでもなれー状態。

      *、
     / +、
    ∩   *。.
(´・ω・`)    +。
と   ノ   *゚
 と、ノ   ・゚
  ~∪   *゚
(なつかしのAA)

生グレサワーを手絞り器でという昭和マナーを何杯も堪能しました

大雪でごはん屋さんも
全然空いてなくって
なんとか入れたホテル内の居酒屋さん。

あの雪道の中、事故もなくホッとしながら
まさかの5日目へ!

DAY5:いろんなカムイ

ガイドむー「こちらエゾシカの群れです!」

翌朝、中標津は雪も止み、晴れました。
開き直った我々に怖いものは何もありません。

昨日、関さんに教えてもらった
タンチョウの穴場へいざ!

と思ったんですが、
「霧多布にラッコがいる」
という話を思い出しました。

まっすぐ行けばタンチョウ。
左に曲がればラッコ。

タンチョウは確実にいる。
ラッコは行ってみないとわかんない。
みんな、どうする??

\ラッコ!/

そうです。
私たちはヤブレカブレモードなのです。
ということで、浜中町は霧多布(きりたっぷ)へ。

花咲線、雪で線路埋まってました
電車も運休!
きりたっぷ&ぽんぽろと

道中、花咲線(根室本線)の線路が
雪で完全に埋もれている様におどろいたり

みょうちきりんな地名がツボに入ったり
エゾシカの戦いを観戦しました。

舞台は厳冬の北海道、氷点下の死闘!
北の大地が震える宿命の一騎打ち!

鋼のように鍛え上げられたツノが激突、
その音はまさに雷鳴!

吹きすさぶ雪風の中、
ただ一席の覇者の玉座を巡り、
野生の本能が火を噴く!

闘うことでしか存在を証明できない2頭の漢!
北の王は、どっちだ!?

なんで最後こっちみるんだよ

右「じゃやりますか、はいそっち押して・・」
左「はいよ、受けますよ。こんなもんでいいかい」
右「もっと弱くていいよ、疲れちゃうからね」
左「少し粘った風にしてみようか」
右「こんなもんでいいんじゃね」
左「じゃ、このへんで」
右左「いかがでしたか?おきゃくさーん」
右左「ダメ?もっと?しょうがないなぁ」
*最初に戻る

霧多布岬に着きました。
ギリギリまで車で行けるのかと思ってたら
意外と歩く!

ここから意外と先がある。
海は相変わらず大荒れ
一瞬アザラシが
誰もいないのよ

襟裳岬の春は何もないと
古しえの名曲にもありますが
霧多布岬にはありましたよ。

それがラッコ。
岬自体が断崖絶壁なので、
海面までかなり距離がありますが
ライムちゃんがすぐに見つけてくれました。

4頭見えますか?

いやー、日本に野生のラッコっているの?
と調べてみたら、

国内のラッコは毛皮目的で乱獲されて
20世紀初めに絶滅したのだそう。

で、北方四島あたりで増えた個体が
千島海流に沿って2016年ころに定着したと。

(この記事に詳しいです。観光客が来ちゃってちょっと困ってる、というような一文もあって、動物園感覚で、野生生物を楽しんでいることにハッとしてしまった。気をつけているつもりだったけど。)

タンチョウとキタキツネ

ラッコとタンチョウの2択で
ラッコをとってタンチョウを諦めたのですが
タンチョウ、いてくれました。
遠くからこっち見ているキタキツネと共に。

ちなみに前半組は違うところ(保護区域)でタンチョウをみています。

大雪の神様がくれた、
エクストラな1日も

怖くも美しい光景ばかりだった
ロングドライブで無事に釧路まで。

以前ミカちゃんが住んでいたということで
おすすめのお寿司屋さんで打ち上げ。

みかこ凱旋記念・おいしかったよ、なごやか亭!

天候海況に左右されまくり度
史上1位だった今回。

海外や沖縄もひっくるめて、
これまで企画した全てのトリップの中で
三指に入る決断と判断力の要る旅でした。

(走行距離もダントツ1位。みんなの腰、頑張りました)

5日間もいて、潜れたのはたった1本。
中止、変更、代替、通行止め、欠航
そんなフレーズばかりが続く中

誰一人攻撃的になるわけでもなく
落胆で車内を満たすこともなく

ご参加の皆さんには
「野生や自然に対峙する姿勢」
教えてもらった気がします。

・クリオネやイクオネ
・野鳥(タンチョウ、オジロワシ、オオワシ)
・キタキツネ
・アザラシ
・ラッコ
・モンキーパンチ
・もちろん流氷

いつもとはちょっと違う、
いや大分違う道東を楽しみました。

一言で言えば「いろんなカムイに会えた」
そんな旅でした。

ご参加の皆様、ありがとうございました!

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